外観検査・品質管理

目次

製造業において、外観検査は製品の品質を担保する重要な工程です。一方で、労働力不足や熟練者の高齢化が進む昨今、個人の感覚への依存やヒューマンエラーによる見落としを防ぐ解決策として、アイトラッカー(視線計測器)の活用が広がっています。

こちらでは、製品検査にアイトラッカーを用いることで得られるデータや期待できる効果、さらには導入に適した製品の選び方について詳しく解説します。

製造業の外観検査・品質管理におけるアイトラッカー活用で分かること

熟練検査員の視線の動かし方

製造ラインで外観検査を行う際、熟練の検査員であれば製品のわずかな傷や汚れ、打痕といった不良を瞬時に見抜くことができます。アイトラッカーを活用すると、ベテランが製品の全体をどのように注視しているのか・どの部位で視線を止めて確認しているのかという点について、その軌跡と停留時間を正確に計測可能です。たとえば対象物の形状に合わせて無意識に行っている視線の走らせ方や確認の優先順位、全体を俯瞰した上で細部に焦点を合わせるリズムなど、これまで目に見えなかった検査ノウハウを具体的なデータとして可視化できます。

見落としが発生する瞬間や疲労度

目視による外観検査は非常に高い集中力を要する作業です。そのため、長時間の作業継続によって蓄積した疲労が、見落としを発生させる大きな要因といえます。

アイトラッカーを活用すれば、視線の位置だけでなく、まばたきの頻度や速度、瞳孔径の変化などを同時に記録できます。これらのデータを分析することで「疲労の蓄積で視線の動きがどう鈍るのか」「集中力が途切れた瞬間にはどのような見落としが発生しやすいのか」といった定量的な把握が実現します。

目視ではわからない認知負荷や疲労度などの内的状態を数値化できるため、検査員の負担を軽減する適度な休憩サイクルの設計などにも役立つでしょう。

製品操作と視線の連動性

立体物や光沢のある部品の検査を行う際、検査員は製品を手に取り角度を変える、あるいは照明の光を当てて反射を利用するといった工夫をしながら確認を進めます。アイトラッカーを装着して実際の作業を行い、その流れを記録することによって、検査時の製品の動かし方と視線の連動性、手元を見るタイミングなどを詳細に分析できます。

この分析から手元の動きと視線の協調作業のメカニズムが明らかになるため、死角になりやすいポイントを特定するだけでなく、より検査をしやすい照明環境や作業台のレイアウトを構築するヒントが得られます。

アイトラッカーで解決できる外観検査・品質管理の課題

暗黙知の言語化と新人教育の効率化

外観検査における技術は、カンやコツといった暗黙知に依存しやすい特徴を持ちます。そのため、新人指導や言語化によるマニュアル作成が難しいという課題が生じがちです。

このようなケースでも、アイトラッカーを活用して熟練者と新人の視線を比較すれば、見ているポイントや視線のスピードの違いを明確に提示できます。熟練者の視線映像(ヒートマップなど)をそのまま教材として活用し、「この部分をこう見る」と視覚的なフィードバックを行うことが可能です。

結果として、新人検査員の教育に費やす時間を短縮し、早期の即戦力化に貢献します。

見逃し・過検出の防止

品質管理上の大きなリスクとして、不良品を良品として見逃してしまうことや逆に良品を不良と判定してしまう過検出が挙げられます。アイトラッカーを活用すれば、エラー発生時に検査員が「対象箇所を見ていなかった」のか「対象箇所を見ていたものの、不良と認識できなかった」のかを正確に切り分けられます。

個人の癖や思い込みによるエラーのメカニズムを解明し、検査手順の見直しや作業手順書の改善を図ることが可能です。現場の検査品質のばらつきを抑え、工場全体における品質管理レベルの向上に直結するアプローチといえます。

自動外観検査AIの教師データ

近年、カメラとAI(画像認識)を組み合わせた自動外観検査システムの導入が進んでいます。

しかし、AIに対して「良品」「不良品」の特徴を学習させるための教師データ作成には、多大な労力が必要です。ここで、熟練検査員のアイトラッキングデータが強力なサポートとなります。具体的には、人間のプロが「画像のどこに注目し不良と判断しているか」という視線情報をAIの学習に取り込むことで、AIの判定精度を飛躍的に向上させる手法が期待を集めています。

人間とAIの協調により、次世代の高度な品質管理体制構築を後押しする有望な技術です。

外観検査・品質管理のためのアイトラッカーの選び方

作業者の動きを妨げない装着感と広い視野

外観検査を正確に行うには、製品を手に持ちさまざまな角度から確認する動作が欠かせません。そのため、アイトラッカーを使用する際、作業者の手元や頭部の動きを制限しないことが重要です。作業者の視界を遮らないスマートグラス型など、薄型軽量のウェアラブルタイプの製品を選ぶことで、自然な検査行動を記録できます。

微小な傷や異物を捉える高い計測精度

実際の検査では、数ミリ単位の傷や微小な異物を見つける必要があります。そのため、近距離における細かな視線移動を正確に捉えられる高いサンプリングレートと計測精度を備えた製品が不可欠です。手元の細かな検査作業を精緻にデータ化できるスペックを持つモデルを選ぶことをおすすめします。

環境光への耐性と操作性の高さ

工場のラインや検査室には、特有の強い照明が設置されていることが珍しくありません。そのため、特殊な照明環境下でも安定して瞳孔を認識できる環境光への耐性が求められます。また、製造現場の担当者が直感的に操作でき、スピーディーな解析が可能なソフトウェアが付属しているかどうかも、製品選びの見逃せないポイントです。

まとめ

自社の課題に合ったアイトラッカーの選択が重要

製造業の外観検査における熟練者への依存やヒューマンエラーによる見落としといった課題は、アイトラッカーの導入によって解決の糸口を掴めます。視線の軌跡や停留時間を計測して熟練者の暗黙知を可視化することで、新人教育の効率化やエラー原因の特定に役立ちます。さらに、取得したデータは自動検査AIの教師データとしての応用も広がっています。

導入にあたっては、作業者の視界や手元の動きを妨げない装着感、微小な傷を捉える計測精度、照明の反射に強い耐性を持つ製品を選ぶことが大切です。

以下のページでは、技術者による導入サポートとデモの開催や対応を行っているアイトラッカーを紹介していますので、自社の環境や目的に合った製品選びにご活用ください。

自社に合う
アイトラッカーを探す

【目的別】アイトラッカーおすすめ3選

ここでは、アイトラッカーの導入を検討している方向けに技術者による導入サポートとデモの開催や対応をしているアイトラッカーを目的別にご紹介しています。目的と用途に合わせて装置をピックアップしていますので、ぜひ製品選びの参考にしてください。

運転時や現場点検の
視線行動を計測したい

3選のイメージ1-2
  • 熟練技術者の視野を技能伝承に活かしたい
  • 屋内・屋外での自由な動きを計測したい
  • 難しい設定をしないで自社に合うものを導入したい
おすすめのアイトラッカー
自由に動きながら計測できる
装着型アイトラッカー
EMR-10
EMR-10
引用元:ナックイメージテクノロジー公式HP(https://www.eyemark.jp/reason/)
  • 使いやすさに特化した設計。タブレットPCですぐに接続・利用が可能
  • 自社の目的に合わせてカスタマイズや特注対応が可能
主な用途
技能伝承
運転
スポーツ
人間工学
心理学
       
レンタル可否
※1週間単位

特徴や導入事例を
詳しくチェック

対象物1点の細かい
視線を追跡したい
3選のイメージ2-2
  • 心理学など、学術的な研究に使用したい
  • 高い精度の視線計測を求めている
  • 今使っている生体計測と組み合わせたい
おすすめのアイトラッカー
人をより深く知るための
ハイスペックアイトラッカー
Tobii Pro スペクトラム
Tobii Pro スペクトラム
引用元:tobii公式HP(https://www.tobii.com/ja/products)
  • 最大1200Hzのサンプリングレートで高速な眼球運動のメカニズムも研究可能
  • アイトラッキング世界シェア No.1
主な用途
学術研究
マイクロサッカード
人間工学
心理学
       
レンタル可否
要問合せ

特徴や導入事例を
詳しくチェック

VRで再現された空間の
評価をしたい
3選のイメージ3-2
  • VR空間内での没入感を高めたい
  • ユーザーの注視点だけでなく感情も可視化したい
  • 商品企画の立ち上げから相談したい
おすすめのアイトラッカー
VR世界の脳活動を計測する
HMD型アイトラッカー
NeU-VR
NeU-VR
引用元:FoVE公式HP(https://fove-inc.com/product/)
  • ヘッドマウントディスプレイVR視聴中の脳活動・心拍および視線情報をリアルタイム計測
  • 立ち上げ段階から企画・開発を支援
主な用途
マーケティング
VR
空間評価
       
レンタル可否
※月単位

特徴や導入事例を
詳しくチェック

※2023年8月1日調査 googleで「アイトラッカー」で検索して表示された、アイトラッカー取り扱い企業の上位17社の中から、技術者による導入サポートとデモの開催または対応を行っている企業をピックアップし、以下の特徴で選出。
現場の複数箇所の視点を計測したい…唯一、導入企業の現場に合わせたカスタマイズ性と持つ装着型アイトラッカーを提供
対象物1点の細かい視線を追跡したい…唯一、視線データの取得量が一番高く(1200Hz)、マイクロサッカードを含む無意識な眼球運動を計測できる据え置き型アイトラッカーを提供
VRで再現された空間の評価をしたい…唯一、空間体験をしながら計測が可能なヘッドマウント型ディスプレイの装着型アイトラッカーを提供